2016年3月5日土曜日

自殺願望からの復活


私は中学に入ってから
ものすごい自殺願望があった。

別に、これと言っていじめられていたわけでもなく
友達がいなかったわけでもなく
家庭環境に問題があったわけでもない。


でも
なぜか無性に「死にたい」という欲望にかられては
ビルの屋上に立っていた。


そんな中3のある日
健康診断のあと、
お医者様から呼び出しを食らい


君の心臓は手術しないとダメだ。
ちゃんとした検査を受けなさい・・・


と言われた。



晴天の霹靂だった。


私はそれまでずっと知らなかったのだが
実は、生まれたときから
私の心房の壁には穴が開いていた。


でも、それはよくある話で
成長とともに閉じることがあるから
すぐに手術する必要はないといわれたらしい。


私は、自分にそんな障害があるとは知らず
普通に体育の授業をやっていた。


実は、
体育の授業ほど、私にとって苦痛なものはなく
遠足でたくさん歩いたり
マラソン大会で長距離を走ったり
水泳をするなどというのは
拷問でしかなかった。


でも、私は自分の心臓のことを
全く知らなかったので
自分が怠けものなのだと思っていた。



だから、誰にも言い出せず
必死にやっていた。


そして、事実を知らされ
なんだ、そういうことだったのか。。。と
ちょっとだけホッとした。
自分が怠けものだったわけじゃないことがわかったからだ。


そして自殺願望のあった私は
別に手術しなくてもいいんじゃないかと思った。



それでも、
心配して病院を探し回り
手術をセットアップしてくれる家族を見ていて
そんなことは言い出せなかった。



胸腔鏡手術の進歩により
私がやった開胸手術は必要なくなり
現代の手術では傷が残ることがないらしい。

でも、当時の技術では
開胸手術しかなかった。


そして、それは、のど下からへその上まで
大きな傷が残る手術だった。



私はあまりにも生きることに執着していなかったので
自分の手術について
あんまり詳しくきいていなかった。



そもそも、そんな跡が残るような手術になるなんて
家族はだれも言わなかった。
聞いたらショックを受けると思って
言わなかったのかもしれない。


でも、ある日学校から帰るとき
あまりしゃべったことのないクラスの子から


「心臓の手術するんでしょ?胸開けるから
凄い傷が残っちゃうんだよね。
一生消えないんでしょ?
ビキニとか、胸の空いた服は絶対着られないね」


と言われた。


彼女は、悪気があっていったわけじゃなく
当然私が知っていると思って
ものすごく無邪気にしゃべっていたのだが

私は、親からも医者からも
そんな話は一言も聞いていなかったので
絶句した。


そんな手術なら、
なおのことやる必要ない。。。。

このまま心臓が弱って死ぬなら、
それで本望!


そう思って、
仲良くなったベテラン看護師さんにぶちまけた。


どうせ死ぬのに、なんで生きなきゃいけないの?
なんで、わざわざ手術とかして
大きな傷まで作って
生きなくちゃいけないの?
何のために生きるの?


おいおい泣きながら看護師さんに訴えた。


看護師さんは


「何で生きるのか、今、もし答えが出ないなら
とりあえず、親のために生きなさいよ。

そのあと考えたらいいでしょう?
答えが見つかるかもしれないから。

自分のために生きられないというなら
今回だけは、親のことを思って生きなさい」


と言った。


何で生きるのかっていう答えはもらえなかったし
説得力があったわけじゃないけど

でも、痛いところを突かれた。


結果的に私は手術を受け
体には大きな傷が残った。


手術する前は
大きな傷のある体じゃ、
おしゃれもできないし
彼氏だって出来ないだろう。。。って


いろいろ悲観していたけれど


手術した後
頭に血のめぐりがよくなったのか
そんなアホことはあまり考えなくなった。

そして死にたいという願望もほぼ消えた。


なぜかというと
生きるのがとても楽になったからだった。


一日動くのが本当に辛かったのだが
手術後は嘘みたいにラクになった。

走っても疲れない。
動き回っても疲れない。


凄いことだと思った。


そしてもっとすごかったのが
成績が飛躍的に向上したことだった。


学年最下位に近いところにいた私が
手術後に受けたテストの結果で
一気に上位に躍り出てしまった。


当然だが、呼び出しを食らい
カンニングを疑われた(笑)


でも、当時の担任がすごくいい人で
周りの先生を抑えてくれたおかげで
疑いは晴れた。笑


その後も上位を取り続けたから
カンニングじゃないというのは明らかだった。


勉強方法を変えたわけでもないのに
明らかに私の頭脳は明晰になっていた。


心臓がきちんと動いて
血液が十分な酸素を体に運ぶということは
本当に大切なことで

それが滞ると
とんでもないことになるのだということに
自分自身の体で体感した。


しかも成績が上がるとか記憶力が上がるといった
目に見えて分かる結果につながったことで
自分の体が正常に動き始めたのを感じた。


きっと、手術前の状態は
高地トレーニングしているのと同じだったと思う。

だから、急に酸素を得て
いっきにいろんなことが出来るようになっちゃったのだ。。。と思った。



そして体が元気であれば
あんまりネガティブなことを考えなくて済むということも実感した。


手術後は、
下らないこと考えて
ビルの屋上に立つことはなくなった。


そして
「やりたいことはすぐやる!
がまんしない!チャンスはつかむ!」
という自分のポリシーが明確になった。


だって、いつ、どこで
何があるかわからないのだから。。。。







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