2015年12月8日火曜日

ちょっと真面目にヨガ その3 理論5 「ハタヨーガ」


●ハタ・ヨーガ



ハタ・ヨーガは「チカラのヨーガ」という意味で、
10世紀ごろから、
密教(タントリズム)の影響を受けて発展した
身体鍛練を中心とするヨーガです。


ゴーラクシャ・ナータによる
「ハタ・ヨーガ」の経典が最初と言われていますが、
すでに消失しており、
現時点における三大経典は、
16世紀に成立したスヴァートマーラーマによる
「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」と、
その後編纂された「ケーランダ・サンヒター」及び、
「シヴァ・サンヒター」です。


「ハータ・ヨーガ」は、
瞑想中心の「ラージャ・ヨーガ」に
様々な身体鍛練の手法を取り入れ、
肉体を重視している点が特徴です。


多様な技法を駆使して体に負担をかけることで、
瞑想に入りやすいしなやかな肉体を作り、
少しでも早く解脱を目指そうという実践手段です。


また抽象的な「解脱」という目的以外に、
病気や死の克服といった
肉体的な問題にも焦点を当てています。

タントリズムの中心的な考え方である
男性原理と女性原理を融合させることで
神との一体化を目指すという理論も取り入れており、
性的なエネルギーを昇華させるとで
解脱を促すという手法も使われます。




【ハータ・ヨーガにおける身体観】

宇宙は「プラーナ」と呼ばれる
生命エネルギーに満ちており、
宇宙と同じ構造をもつ人体にも同様に
「プラーナ」が流れています。

そして、そのプラーナは
「ナディ」と呼ばれる血管のような管を通ります。

プラーナとナディの関係は、
中国伝統医学でいう「気」と「経絡」のようなものととらえることが出来ます。


また、背骨に並行している最も太いナディは
「スシュムナー管」と呼ばれ、
それに沿って「チャクラ」と呼ばれる
数か所のエネルギーポイントが存在します(一般的には7つ)。

その中で最も下部にあるムーラダーラチャクラ(会陰)には、
クンダリーニと呼ばれる
女性的なエネルギーが眠った状態で存在しており
(実はプラーナと同じもの)、

これを目覚めさせ、
スシュムナー管に沿って頭頂にまで引き上げることができると、
「解脱」にいたるとされています。


「ハータ・ヨーガ」は
身体を動かしながら実践するため、
ただひたすら瞑想するよりも心身を調整しやすく、
近年注目を集めているフィットネス風ヨーガのほとんどは
この「ハタ・ヨーガ」をベースに発展したものです。



【ハータ・ヨーガの実践】


ハータ・ヨーガでは効率よく実践するための4つステップがあります。

[1] 体位法(アーサナ)

いわゆるヨーガのポーズ。
「ラージャ・ヨーガ」の坐法に当たるものだが、
積極的に体を動かすアーサナが取り入れられている。



[2] 調気(プラーナーヤマ)
「ラージャ・ヨーガ」の「調気」と同じであり、
呼吸と共にプラーナを体に取り込み、
体内のプラーナを調整する。



[3] 印相(ムドラー)
ムドラーとは、スシュムナー管を通る
プラーナを目覚めさせるテクニックであり、
体位法と調気を組み合わせたもの。



[4] 三昧(サマーディ)
3つのステップを経てきた最後の段階。
プラーナを完全に調気した状態であり瞑想状態でもある。





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